収益還元法の具体的な活用方法を詳しく考察していこう。たとえば、都心と郊外の2つのエリアの物件Aと物件Bで、おのおの、築年数も規模も近い建物で、ともに管理状態のよいマンションの賃料を比較してみる。都心のマンションAは、賃料が30万円、期待利回りは標準的な5%とすると、計算は以下のとおりとなる。とりあえず、この計算では経費率は捨象する。30万円×12ヵ月÷5%=7200万円一方、郊外のマンションBは、賃料12万円、期待利回りはこちらも5%とする。12万円×12ヵ月÷%=2880万円実際に、都心のマンションAの場合、7500万円前後で売買されている。ところが、マンションBの場合は、4000万円前後で売買されていた。ここで、収益還元法から導かれた適正価格と、販売価格を比較してみよう。計算は以下のとおり。「A)取引価格÷理論値=7500万円÷7200万円=104%B)取引価格÷理論値=4000万円÷2880万円=139%」つまり、Aは理論値(収益還元価格)に近い価格で売買されているが、Bは理論値よりも約4割も高く売られていることになるわけだ。これでは割高でとうてい買うことはできないということがわかる。実は、全国いたるところでこのような現象は見られる。もっと極端な例になると、理論値の2倍を超える価格で売買されているケースも珍しくない。そして、これは重要なことだが、賃料相場の低いエリアほど、この乖離率が大きくなる傾向がある。つまり、賃貸に出した場合、儲からない可能性が高いエリアほど、割高な価格がつけられている危険性が高い。もっといえば、購入者は資産価値のない不動産を買わされているということなのだ。
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